TREATMENT 施術のご案内

サージェリーファースト

サージェリーファースト

Surgery First(サージェリーファースト) とは、出っ歯、受け口など顎変形症の外科的治療において、術前の矯正治療(通常1~2年)は行わずに、はじめに手術で上・下顎を理想的な位置に整復し、その後に歯科矯正治療を始めるという治療法です。

出っ歯、受け口などの患者様で、歯並びを良くするだけではなく顔貌を骨格から大きく変化させる顎矯正術を受ける方が近年増え続けています。
その背景には医療技術の進歩、医療器械の開発が大きく、手術そのものに対する信頼性が上がったことが大きく影響しています。

顎変形症に対する顎矯正手術は以下の2つに大別されます。
1)上顎骨、下顎骨といった骨全体を切って前後、上下、左右に移動する
2)歯を含む骨の一部だけを切って移動させる

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現在大学病院などで行われている顎矯正手術の一般的な治療の流れですが、以下の3段階に分けられます。
 ・第1段階: 術前矯正によって、不正位置にある顎骨に対して歯の代償性適応を軽減させます。(通常1~2年)
 ・第2段階: 全身麻酔下で、顎矯正手術を行います。(入院2~4週間)
 ・第3段階: 術後の歯列矯正によって咬合状態を安定させます。(通常6か月~2年)

患者様にとっては、いざ手術を受けようと思っても治療期間の長さ(通常3~4年)を含めて、様々な不都合が生じるのもこの治療法の欠点であります。
特に第1段階である術前矯正が全過程のうち最も時間がかかり、初診から第1段階終了までは平均1~2年を要します。

術前矯正治療を行う欠点

  1. 術前矯正の進行速度を予測することは難しく、患者様と矯正歯科医は手術の時期を正確に予測することができません。そのため手術の日程を組めず、治療に踏み出すのが難しくなります。
  2. 治療処置に長い期間が必要となります
  3. 虫歯や歯周病を悪化させる可能性があり、手術の受容状態に悪影響を与える可能性があります。
  4. 最大の問題点は、下顎前突では、手術までの期間には顔貌が治療前よりも徐々に悪化していくため、患者様にとっては非常に苦しい期間を過ごさなければなりません(通常1~2年)
    術前矯正治療開始時

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    術前矯正終了時(手術直前): 治療開始時よりも下口唇は突出して顔貌が悪化する

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そこで近年患者様の要望に即して、治療の初期段階で“まず顔貌を変化”させて、コンプレックスを取り除こうという治療計画を行う報告が増えてきました。
1991年にBrachvogelが提案し、術前矯正の欠点、不便さを軽減することが目的でした。
この治療法ではSurgery First(サージェリーファースト)と呼ばれ、術前の矯正治療を省略するか、大幅に短縮します。
治療の初期段階で手術が行われ、上下顎を理想的な位置に整復して、その後に矯正治療を行うという治療法です。

サージェリーファースト法の利点

  1.  トータルの治療期間が短縮されます。
  2. 患者様優先の治療計画が組めます。すなわち外科手術が歯列矯正よりも先に行われるので、患者様が手術の時期を選択できるわけで、術後のダウンタイム(腫れの期間など)を十分に設けることが出来ることになります。
  3. 顔貌のコンプレックスをはじめに解消するため、患者様には治療開始早々に顔貌に満足していただけます。
  4. 局所再生促進現象が有効活用できます。局所再生促進現象とは、1993年にFrostにより報告されましたが、骨切り術が行われたあと、治癒再生組織周囲の骨再形成によって、治癒過程が促進されるということです。歯科矯正医は、この局所再生促進現象を活用するため、顎矯正手術後には歯牙移動を加速させることが出来ます。手術を先に行うことによって、組織内の代謝活動率の高い期間を活かせば、歯科矯正治療期間を短縮出来るわけです。
  5. 矯正済みの骨格パターンに基づき歯牙移動を行うことが可能です

サージェリーファーストによる下顎前突症の治療
患者様の主訴は、咬み合わせの改善ではなく、下顎が突出している顔貌を改善したいとのことでした。
術前矯正を行うと、1~2年間は現在より下顎前突感がかえって強まり、顔貌は悪化します。
そこで術前矯正は省略して顎矯正手術を先行して、その後に術後矯正を行った症例です。

手術前

手術前

手術1週後

手術1週後

治療終了時

治療後

ただし、この治療法は高度なアプローチと多くの経験が必要で、どこの施設でも行えるわけではありません。
矯正歯科医にとって最終咬合の予測は非常に難しいことです。
また外科医にとっては、術前プラン(顎骨位置、咬合)に合わせて、1㎜以下の精度で骨切り、固定を行わなければなりません。
経験豊富な歯科矯正医と顎矯正外科医が緊密に協力し合わなければなりません。
慎重に症例を選び、最終的な咬合状態を事前に想定し治療計画を立てることにより良い結果が得られます。

Surgery first 法の基本原則を有効活用すれば、ほとんど症例で術前の歯列矯正期間が無くなります。
何と言いましてもコンプレックスのある顔貌を初期段階に手術で大幅に改善できることは、患者様にとりまして大きな魅力であることは間違いありません。

 

症例

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骨格性下顎前突症: 下顎枝矢状分割法(SSRO)>

骨格性下顎前突に対して、術前矯正を行わず(サージェリーファースト)下顎枝矢状分割法を行いました。セットバック量は13㎜でした。術後は咬合のみならず顔貌も大きな変化が得られ、オトガイは患者様の希望に沿って平均値よりもやや後退気味の仕上がりとなりました。
横顔では下顎角からオトガイ先端(ポゴニオン)の距離が短くなり、小顔効果も得られております。

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