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プレートシステム(骨固定用)

プレートシステム(骨固定用)

骨固定用のプレートシステムの材質はチタン製のものが広く用いられています。
近年ではポリ-L-乳酸(PLLA)製の吸収性プレートも部位によっては用いられようになってきました。
またPLLAとハイドロキシアパタイトを複合体とした製材(SuperFixsorb-MX)も開発されています。

プレートシステムによる骨固定では、適切なプレートの選択と固定部位の決定が重要です。強度については吸収性のプレートは金属製のものと比べれば劣りますが、ほとんどの症例で使用可能です。

プレートシステムを用いることにより従来行われてきたワイヤーによる締結に比べはるかに強固で安定した骨固定を行うことができます。しかしプレート固定はあくまでも安定した骨癒合を促すものであり、プレートのみで骨片の位置関係を維持し続けることはできません。いかにプレートシステムにより強固な骨固定をしても、無理な手術計画、術後の咬合の不安定性や不適切な保定などにより骨片の後戻りが起こりえます。


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頭蓋顔面外科領域の骨切り術では、骨固定用プレートシステムは必要不可欠です。プレートシステムは厚さ1㎜ほどのミニプレートシステム、より薄いマイクロプレートシステム、スクリューをねじ込むことにより、骨片どうしが引き寄せられるコンプレッション・タイプのものなど開発されています。
ここでは各種プレートシステムの特長、問題点について述べます。

1. 各種プレートシステムについて
  1. ミニプレートシステム
    厚さ0.6~1.0㎜でスクリューはねじ部の山径が2㎜ていどのものが標準的な大きさです。スクリューヘッドの突出を抑えるためにスクリューヘッド部分を平坦にしたものが開発されています。
  2. マイクロプレートシステム
    厚さ0.4~0.6㎜で、スクリューねじ部の山径は1.2~1.5㎜ほどでミニプレートシステムに比べて薄くて小さいのです。
  3. コンプレッション・タイプ
    プレートのスクリュー孔部分に形成されており、スクリューを締め込むことにより骨片が内側へ押し込まれ、骨片どうしが強固に固定されるものです。特に下顎枝矢状分割法における骨片固定に有用です。
2. プレートの形状

ストレート型のもの以外に、L型、T型、Y型、ダブルY型などさまざまな種類があります。
固定部位に合わせて、あらかじめ形状を調整してあるものがあります。
上顎前方移動やオトガイ部の前方移動用に㎜単位で移動量分だけ曲げてあるものや、下顎枝の固定用にプレートの中央部分が捻じってあるものもあります。

3. 材質
  1. ステンレス・スチール
    プレートシステムの開発当初は金属製のものが主体でした。ステンレス・スチールは耐食性を向上させるために鉄とクロムを合金したものであり、安価ですが、CT撮影ではアーチファクトが起き、強磁場であるMRI撮影はできません。また耐食性が向上しているとは言え、長期的には腐食の問題もありプレート抜去が必要です。
  2. バリウム
    コバルトとクロムの合金で硬い材質であることから義歯床などにも用いられています。しかしCT撮影はできないといった欠点があります。
  3. チタン
    ステンレス・スチールに比べ軽くて強度があり、耐食性もより優れています。CT撮影でのアーチファクトもなく、MRI撮影も可能です。現在用い られている金属製のミニプレートはチタン製のものが多く、チタン製のミニプレートは基本的には抜去の必要がないと考えられています。
    一方で、チタンプレートは慢性炎症や被膜形成を惹起するので抜去したほうが良いという報告もあり、統一した見解は得られておりません。
  4. 吸収性プレート
    吸収性の骨接合材は、顎顔面領域においては1997年にタキロン(株)から発売されたFIXSORB-MXが最初の製品です。その後に2007年PLLAとバイオセラミックスの微粒子とを複合化したSuperFixsorb-MXが発売され、さらにPLLAとポリグリコール酸(Polyglycolic acid:PGA)からなる海外製のLactoSorbが承認発売されています。
    PLLAは生体内にも存在するL-乳酸の重合体で、生体内では徐々に加水分解され吸収されるため、プレートを抜去する必要はありません。
    PLLAはX線には透過性であり、術後にX線、CTでプレート自体を確認することはできず、スクリュー孔のみが描出されます。またCT撮影でのアーチ ファクトやMRI撮影での問題はありません。
    欠点としてプレートが厚いことがあげられます。また、骨との結合性や骨伝導性もないため金属製のプレートの併用を必要とする場合もあります
    LactoSorbは1996年からアメリカで発売されている製品です。生体内における分解吸収速度を速めており、およそ1年で分解吸収が完了します。

    下顎骨の固定にはその応力を考慮しますと、適応が難しいと考えられています。
    実際に当院でも使用可能な部位は、上顎歯槽部骨切り術、上顎LeFort1型骨切り術、頬骨(口腔内)が使用可能な部位と考えます。

 
プレート固定手技
プレートシステムによる骨固定では適切なプレートの選択と固定部分の決定が重要です。

  1. プレートの選択ではミニか、マイクロプレートシステムか、またプレートの形状や何枚のプレートを用いるか、について検討する
  2. 固定部位では薄い皮質骨は避け、十分な厚さをもった骨に固定します
  3. プレートを固定すべき位置に合わせて弯曲を加えるなどして形状を調整します。プレートの形状が適切に調整されていないと、スクリューで骨片に固定する際に骨片がずれたり、捻じれてしまったりして正確な整復や骨片の移動ができなくなります。そのためプレートのベンディングは重要です。なお吸収性プレートは金属製のものに比べると曲げや捻じりに弱いため、プレート形状の調整ではあまり強く折り曲げないように留意します。
  4. プレートの調整が済んだら専用ドリルによるスクリュー孔を穿ちますが、骨組織の冷却と骨粉の洗浄を兼ねて生理食塩水を流しながら行います。
  5. スクリュー孔が形成できたら適当な長さのスクリューを選び、締め込んでゆきます。吸収性プレートではスクリューヘッドが金属製のものに比べて弱いため、強く締めすぎたり、またプレートの固定をし直しの際に不用意にスクリューヘッドが破損することがあるので注意します。

考察

プレートの選択
骨固定部位にかかる力、骨片の大きさ、厚い皮質骨が存在する場所、骨切りや骨折線の位置、歯根や歯胚の位置、術野の展開の程度などを考慮し、プレートの形状を選択します。

プレートの厚さ
体表から触知しにくい上顎骨、頬骨、オトガイ部などではミニプレートを用います。下顎の下縁や体部は皮下の軟部組織が意外と薄くプレートが触知しやすい場所ですが、強度のことを考えるとミニプレートで固定すべきです。
一方、眼窩周囲、前額部では固定した骨片にあまり力が加わらないので、薄くて体表からは触知しにくいマイクロプレートがよい適応となります。

プレートの選択
現在国内で使用されている吸収性ミニプレートは厚さ1.5㎜ほどであり、金属製のミニプレートよりもやや厚いが、将来的には吸収されてしまうことを考えると、体表から触知することもそう大きな問題とはなりません。
プレートの強度については金属製のものと比べると劣りますが、皮質骨と同等かそれ以上の強度は有しており、ほとんどの症例で問題ありません。
HA、PLLA複合体の吸収プレートは厚さが1.0㎜でスクリューヘッドもロープロファイルであるため、顎顔面外科手術のかなり広い範囲で適応されるようになってくるでしょう。

プレート固定時の工夫
下顎枝や下顎角部、頬骨、上顎前頭突起部
下顎枝や頬骨などでは術野が狭くかつ深くなることがあり、固定には工夫が必要です。またハンドピースに対して直角にドリルやドライバーを取り付けたアングルドライバーなどが便利です。アングルドライバーは口腔内からの操作が可能ですが、骨に対して垂直方向には強い力がかけにくいこと、視野が悪いことなど操作には慣れが必要です。

合併症とその予防

プレートによる合併症としては、術後の感染、プレートの露出、骨片のずれ、プレートの破折、無腐性腫腫れどがあげられます。

プレート感染
必ずしも緊急にプレートを抜去する必要はありません。局所的な軽度の感染であれば、口腔内であっても創を開放し抗生剤を投与しながら局所の洗浄を続けることで骨癒合が得られることがあります。しかしプレートはあくまでも異物であり、感染が長引く場合にはプレートの抜去する必要があります。

手術計画

プレートシステムによる骨片の固定は、従来行われてきたワイヤーによる締結に比べてはるかに強固で安定した骨固定を行うことができます。しかし、プレートの固定性のみに頼って手術を計画することは危険です。プレート固定はあくまで安定した骨癒合を促すもので、プレートのみで骨片の位置関係を維持し続けることはできません。無理な手術計画、術後の咬合の不安定性や不適切な保定などにより骨片の後戻りが起こりえます。


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下顎枝矢状分割術における骨片固定ではワイヤーによる骨縫合法や囲繞結紮法に対し、ミニプレートによる骨固定はsemirigid fixation法、骨貫通スクリューによる下顎骨外板および内板を固定する方法はrigid fixation法と呼ばれます。
ミニプレートによる固定法はrigidではなく、あくまでsemirigidと位置づけられておりプレートによる固定はそれほど強固なものではありません。またプレートに無理な力がかかるとプレートが破折することも報告されています。したがって手術を行うにあたってはプレートシステムを過信することなく、無理のない手術計画を立てることが大切です。

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