顔面骨の手術を行う際には、画像診断として古くからさまざまな種類のX線撮影方法が用いられてきました。しかし通常のX線では2次元データだけで細部の情報は全く得ることができませんでした。一方CTスキャナーが急速に進歩したことにより、通常の断層撮影に加えて3次元CTが撮影できるようになりました。スキャンしたデータ(ボリュームデータ)から解像度の高い任意の自由な平面画像が作成できます。
CT(3次元CT)では、骨の内部、骨の裏側、軟部組織まで詳細に観察することができるのです。当院では顔面輪郭形成にこの最先端CT画像を取り入れて、治療計画(効果、安全性)に十分役立てています。
CTの欠点といいますと、患者様にとっては被曝量の問題、病院側ではCT器機の高額なコスト、スペースの問題ということになります。
当院のCT装置は、アーム型X線CT診断装置アルファード(朝日レントゲン)ですが、診療目的に合わせてデジタルCTからセファロCTまでの多様な撮影モードを標準装備しています。コンビームCTでは国内最大範囲の撮影領域を誇っており、最大でφ200×179(H)㎜の広範囲を撮影できるのが特徴です。そのシステムは最新のものであり、2次元平面上の検出器に円錐状のX線を照射することにより、1回転のみで対象領域のボリュームデータすべてを取得できる撮影方式が開発されました。
これは従来のヘリカルCTに比べて、撮影時間の短縮、被曝量の低減(従来のヘリカルCTの1/15)につながり、画期的な進歩をもたらしました。さらに体軸方向の空間分解力が高く、短時間に3次元画像が得られる点が特徴です。顎顔面領域の画像診断法では非常に有用です。FPD(フラットパネルディテクタ)と最先端の技術により、低被曝、高解像度、低歪みを実現しています。精度の高い3次元画像を得ることができ、より正確な治療の方向づけに役立ちます。そして治療説明を受ける患者様には、わかりやすい画像表示により、安心と納得を得ていただけます。
多様な診断目的のニーズに合わせて、1台で歯科治療に必要な小範囲から、顔面輪郭形成に必要な広範囲までの3次元画像を提供します。
最先端技術のFPDは、地磁気の影響を受けず、画像鮮明度に優れ、歪みのない画像を取得できます。
硬組織から皮膚などの軟組織までも画像上で識別することが可能です。矯正治療などにおいて必要とされる顔の輪郭を3次元的に表示できます。また顔面輪郭形成におきましてはターゲットとなる部位を一目瞭然に表示します。
多彩な3次元画像表示は、治療内容を患者様へわかりやすく説明することができ、インフォームド・コンセントに役立ちます。
φ51×51(H)㎜のDモード(デンタルCT)モードからφ200×179(H)㎜のCモード(セファロCT)までの4つの機能を搭載しています。鮮明な画像への追求として先端技術の大型FPD(フラットパネルディテクタ)を採用し、Dモード(デンタルCT)では0.1㎜ボクセル、広範囲を撮影できるCモード(セファロCT)では0.39㎜ボクセルを実現しています。
コリメータ内臓のX線発生器は、撮影モードに合わせて照射野が自動的に設定されます。
広いダイナミックレンジと広範囲で歪みのない画像が得られます。
※FPDの構造
FPDは、X線をCslシンチレータにより光に変換後、フォトダイオードにより電荷へ変換し出力します。
自動位置付け機構と電動チェアの採用により、撮影範囲指定ビームを患者様に合わせるだけで、装置が自動的に最適な撮影位置へ移動します。また、ハンディタイプの位置付け操作リモコンにより、患者様がわでスピーディなポジショニングが可能です。
圧倒的な情報量と精度の高い3次元画像が、診断の可能性を広げます。埋伏歯や顎関節、歯槽骨など、頭蓋部の各部位間の幾何学的な位置関係を正確に把握することができます。