TREATMENT 施術のご案内

A. 顔面輪郭形成術

額(前頭部)形成術

患者様の希望は、増大術 (Augmentation) と 減量術 (Reduction) との両者が存在します。
具体的な内容としては下記のようなものです。

1. 額 (前頭部) 増大術:額を出す、丸みをつける、広げる
1) 額が狭い、貧弱、平坦、後退 ⇒ 曲面的で広い額を希望
2) 眉弓の突出した彫りの深い西洋人顔になりたい
3) 眼球突出の改善

2. 額 (前頭部) 減量術:額の骨を削る、骨切り
1) 険しい目つき、厚ぼったい瞼を改善
2) 眉弓の突出、凹凸をなくしたい
3) 女性的な形態(Feminization)を希望:性同一性障害の男性患者様に多い

理想的な横顔の形態(プロファイル)を考える際に、顔面の中央1/3にある鼻、下1/3にある口元~オトガイにかけてのラインに関しては、数値で論じられることが多いのですが、顔面上1/3の額に関しては平面的であり、数値で表すことが難しく理想値というのは一般的ではありません。

実際の患者様を拝見しますと、鼻~おとがいにかけて顔面下2/3のラインは整っているのに額が貧弱であったり、逆に眉毛部が突出しすぎている症例を散見します。
眉弓を中心に額の形態は、顔貌に大きな影響を与えます。

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術前の評価

セファロ正面・側面像は必須であり、当院ではCT(3D-CT含む)撮影まで行います。
側貌解析に関しては、Gonzales-Ulloa によるとフランクフルト平面に対して90゜でかつNasionを通過する線上にオトガイ先端がくるのが理想的です。
あるいは鼻根点と眉間点を結ぶ線と鼻背の稜線で作られる鼻前頭角は125~135゜、また前頭傾斜角(Forehead inclination)は平均で-10゜±9.6゜などの基準が挙げられます。
具体的に手術を希望される患者様には、理想的な額の参考写真(モデル、女優さんなど)を持参していただき、現状と理想の額の形態の差異を説明した上で手術計画を立てます。
横顔ではコンピュータを使った手術シミュレーションを見ながらのコンサルテーションは患者様のみならず、ドクターにとっても大変参考になります。

額の傾斜・鼻前頭角
術前評価

手術方法

1) 増大術Augmentation:
メタクリル酸メチル樹脂、ハイドロキシアパタイト、シリコンプレートなどの人工材料を利用するのが一般的です。

2) 減量術Reduction:
軽症例では眉毛上隆起の骨削り、重症例では前頭洞骨切り術を行います。

I. 前頭部Augmentation-骨セメント法

美容外科患者様の細かな要望を満足させる人工材料としては、加工が容易なメタクリル酸メチル樹脂がもっとも優れた材料と考えます。
多くの患者様の希望は、ただ単に‟額を出したい”というだけにとどまらず、弯曲の程度にこだわり、眉毛部の隆起をつくることにより彫りの深い西洋人顔になりたい、など複雑な要望が多いものです。
ハイドロキシアパタイトでは、細工のしにくさ(3分以内に硬化してしまう)のため、このような要望には対応できません。ハイドロキシアパタイトは、事故などで頭蓋骨が陥没したような場合に、その窪みに流し込んで表面を平たんに慣らすなど、硬化時間内にほぼ細工が可能な場合に用いるマテリアルであり、整容的に額を形成する用途としては不向きであります。

術前準備

外来で患者様の額の左右生え際までの広がりの寸法を計測します。
またこめかみはどこまで挿入するか、生え際から何センチ頭頂に向かって挿入するかはこの診察の際に決定します。
骨格以外の情報、すなわち皺眉筋の厚み、左右差、眉毛位置の左右差、眼窩上縁と眉毛位置との関係、鼻に関しては鼻根部形態、ハンプの有無、など周囲組織、とりわけ軟部組織の精査をします。
額の形態は必ずしも硬組織である前頭骨の形態によってのみ影響されているわけではなく、筋肉、脂肪などの影響があることがその評価を難しくしている要因です。

術前検査としてCT撮影は必須であり、CTデータから3次元実体模型を作製します。
この模型は患者様の実際の頭蓋骨と等大で作成されます。

この模型上で患者さまの希望される形状のカスタムメイドのインプラント(人工骨:メタクリル酸メチル)を製作しますが、これは術者である私が3時間ほどかけて行います。通常は手術の前々日までに完成させています。というのは滅菌作業に24時間以上要するため、前日でも間に合わないのです。
この段階が本手術で最も重要な段階です。このインプラント作製にはさまざまなコツを要します

樹脂片のデザインは術前のセファロ側面像とコンピュータシミュレーションを参考にします。厚みに関しては、セファロ上に患者様の希望される理想の額形態(コンピュータ・シミュレーション)をトレースして重ねて、厚みを計測しますが、もっとも重要なのは眼窩上縁の突出の評価です。
実際の横顔写真、セファロ側面像で、みます。写真上のスケールを基準に額全体における突出量を算出して、基本設計図とします。
計測の垂直方向の基準は眼窩上縁からの距離でおこなっています。但し横顔データはあくまで2次元の表現ですので、額の中心部での増大量だけを反映しているものです。

いよいよ頭蓋骨模型上で挿入するインプラント樹脂(カスタムメイド)を作製します。
はじめに患者様の実際の顔面を計測した際のデータとして、挿入すべきインプラントの上下・左右の広がりをマーキングします。
上方は眼窩上縁から生え際(平均6㎝)に入り、頭頂部に向い3~8㎝程毛髪内まで入れることになります。

ここで樹脂剤の準備を始めます。当院では Codman CRANIOPLASTIC™ (Codman&Shurtleff Inc. RAYNHAM.MA USA) を用いています。

Fig3-web-edit-2

これは頭蓋骨修復用として開発された樹脂剤であり、主成分はメタクリル酸メチルです。
CRANIOPLASCTIC™は付属のパウダーと液体とを混入撹拌し5分ほどである程度粘着性が出てきた時点で頭蓋骨模型上に塗布していきます。
その際に額中央部で打ち込まれたスクリューを基準に厚みを合わせていき、上下左右ともになだらかにグラデーションをつけていきながら硬化するのを待ちます。
硬化してから削れるのですが、できればその約10分間で可及的に完成形に近い樹脂片を作製する様にします。
10分経過して樹脂が硬化すれば頭蓋骨模型より取り外しが可能です。
ラウンドバーにて辺縁を中心に段差ができないように薄く、なだらかに削っていきますが、その際左右差、厚さの確認が重要です。
模型にかぶせたり、取り外したりを繰り返して、完璧なインプラントを作製します。
このような作業をしますと通常3時間かかります。

手術手技

手術は全身麻酔下に行われます。
頭髪は切ったり、剃ったりすることはありません。切開部は髪をゴムでくくることにより、露出します。

切開線は術後の瘢痕が目立たないように、後頭隆起上方を通過する冠状切開(後頭部冠状切開法)を行います。
この部位の切開線は男性患者様でも目立ちにくいため、女性であれば術後に気になることがありません。

剥離は骨膜下、側頭部は深側頭筋膜上で眼窩上縁まで前頭骨を広く露出します。
眼窩上縁より下方まで骨セメントを挿入したい患者様では、眼窩上神経を切痕(あるいは孔)からはずしておきます。
側方は術前デザインに沿って、必要範囲だけ深側頭筋膜上で剥離しておきます。

術前に作製した樹脂片を頭蓋骨上に乗せ、左右差、辺縁での段差などを確認します。
翻転した頭皮をかぶせ状態、すなわち軟部組織をかぶせた状態で三次元的に評価します。
両側の辺縁はこめかみを形成するのですが、皮膚が薄いため段差が目立ちやすい部位です。樹脂のトリミングを再度検討します。

最後に樹脂片の固定は、必要に応じて6㎜スクリューにて樹脂片最上端1ヵ所で行います。
ペンローズドレーンを4本挿入し、スキンステイプラーにて閉創を行います。

Augmentation

併用手術

眉毛隆起を白人のように強調したい場合には、眉毛位置が低くないと突出部位と眉毛位置とがアンバランスになります。
そこで眉毛位置が高い方は、眉毛下降手術(眉毛下皮膚切除術)が適応になります。
この手術は同時に行うこともできますが、後日局所麻酔で行うことも可能です。

II. 前頭部Reduction-前頭洞骨切り術


前頭部の解剖
前頭部の解剖

眉毛部の隆起が前頭洞の拡大、その前壁の肥厚が認められない軽度のものから、前頭洞の開窓なしには適切なreductionが行えない重度なものまで、Oustehoutにより重症度が分類されています。
ここでは削骨だけでは改善が難しく、開窓術を必要とする重症例の治療法を詳述します。
術前検査としてCT撮影が必須で、そのデータから3次元実体模型を作製します。前頭洞の広がりをあらかじめ頭蓋骨模型上にマーキングしてもらうと手術が大変やりやすくなります。模型上で前頭洞の広がりを計測しておきます。

東洋人における眉毛隆起 セファログラム(正面・側面)
東洋人における眉毛隆起の過剰突出 セファログラム(正面・側面)

手術は全身麻酔下に行われます。切開、剥離は Augmentation にほぼ準じて行います。眼窩上神経は眼窩切痕(ないしは孔)から外しておきます。
前頭洞の輪郭を頭蓋骨上にマーキングします。前頭洞の前壁は骨が薄いため、削ってはいけません。手術後にその部位が骨吸収されることを経験しています。

前頭洞骨切り術

したがって眼窩上緑の突出部を、前頭洞を避けて、ラウンドバーで削っていきます。前頭洞の辺縁でピエゾを用いて前頭洞前璧を開窓します。粘膜は可及的に温存する様にします。ピエゾは切りしろがほとんどなく、セットバック後の隙間が最小限となります。骨癒合を考えても、また感染などのリスクを考えても電動器具と比較して優位性があります。
前壁骨片をいったん摘出し、前頭洞中隔を削った後に骨片を戻し、後退度合いを確認した上で、チタンないし吸収プレートで固定します。その後は眼窩上縁外側から頬骨前頭突起に至るまで段差なくなだらかになるよう削ります。最後に翻転した頭皮を元に戻して突出度合い、段差のないことを確認し閉創します 。
本術式では、術後に眉毛部での骨減量による弛みから眉毛位置が本のわずかですが低下するため、また元来眉毛位置が低い症例も多く、同時に眉毛挙上術を併用することもすくなくありません。後頭隆起上方の冠状切開からでは通常の余剰皮膚切除による吊り上げ効果は期待出来ない為、冠状切開に先立ち内視鏡下眉毛挙上術に準じて両瞳孔上方延長上の生え際に約1cmの切開を加えてドリルで頭蓋骨にマーキングを行っておき、最後にこのマーキングより1~2cm後方に4mmスクリューを打ち、冠状切開部閉創後に皮下骨膜と縫合固定を行うことにより眉毛挙上効果を出します。
またオプションとして同時に皺眉筋切除を行うことも可能です。眉毛隆起が発達している方では皺眉筋が発達している方が多いのです。


額症例1

 


額症例2

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