上顎の上下(垂直)方向の成長が異常に大きい場合を、垂直的上顎過大vertical maxillary excess (VME) と定義します。患者様の具体的な訴え(顔面の特徴)としては以下の三つが代表的です。
1)ガミースマイル :スマイル時に歯および歯肉が過剰露出
2)上顎前歯および歯肉が過剰露出(口唇安静時)
3)中顔面が長い :顎先ではなく、顔の中心部(目の下から頬が縦方向に長い、鼻の下などが長い、などと表現)
中顔面の長さの短縮は、LeFortⅠ型骨切り術が適応されます。単にルフォーと表現されることもあります。ガミースマイルの改善では、LeFortⅠ型骨切り(あるいは上顎前歯部歯槽骨切り術)が適応されます。
歯槽突起部に垂直的過成長を認めないときは、Le Fort I型骨切り術で歯列部を頭蓋側から切離し、切離面上方の骨を必要な短縮距離だけ削除し、歯列を上方に移動し、プレートで固定します。歯列弓の幅径の調節を必要とするときは、歯列弓をいくつかに分割することで調節します。基本的には術後矯正が必要となりますが、骨移動量、移動方向によっては、術後の歯科矯正を必要としない可能性もあります。
上顎前歯部の垂直的過大によりガミースマイルを生じている場合は、上顎前歯部の歯槽部骨切り術(分節骨切り術)により前歯部歯肉を上方へ移動することでガミースマイルの改善が得られます。犬歯、第二小臼歯の術前の垂直的な位置関係によっては、前歯部を上方移動することにより隙間とともに段差を生じることがあります。その場合には補綴(セラミッククラウン)などの歯科的治療がに必要になります。尚本術式は、臼歯部の咬合が変化しないために、中顔面の垂直高(長さ)は変化しませんが、術後の歯科矯正が必要ないことが多いのが特徴です。
術前
術後6ヶ月
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術後6ヶ月
術前
術後6ヶ月
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術後6ヶ月
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術後6ヶ月
面長(特に中顔面)、上下額の前突、顔面の左右非対称、ガミースマイルなどが改善され、大きな小顔効果が得られました。







